甘草にお気をつけあそばせ
葛根湯、小青竜湯、小柴胡湯、四逆散、逍遥散、白虎湯、竜胆瀉肝湯、理中丸、小建中湯、四君子湯、補中益気湯、帰脾湯、十全大補湯、血腑逐瘀湯、麦門冬湯、平胃散、防已黄耆湯、独活寄生湯、二陳湯、
これらは、甘草を含む漢方薬です。
これ以外にも甘草を含む漢方薬はたくさんあって、枚挙にいとまがありません。
甘草は、大棗と同じく、薬性緩和の効能があるので、他の中薬の毒性を緩和する働きがあり、本によっては帰経が十二経と書かれているものもあり、使い安い中薬としてはナンバーワンではないでしょうか。
方剤の中には、数多く甘草が含まれています。
先日の漢方薬理学の授業のときのこと。
中国人の先生曰く、
「日本では甘草の分量を気にするけれど、私たちは気にしたことがなかったんです。
それはどういうことかというと、漢方薬の中には、それぞれの漢方薬ごとに甘草が含まれていて、その分量は漢方薬単位だから、甘草を含む漢方薬をたとえば三つ飲んだとすると、三倍の甘草を飲んだことになります。
私たちは、中薬全部合わせた一つの方剤の中で甘草の分量を決めるので、甘草を多くとりすぎる害は考えたことがありませんでした。」
そういえば、北京の東直門病院では、カットした紙の上に男性が処方された漢方薬をせっせと作っていましたっけ。(もちろん、自分で煎じるんですよ)
甘草は、Na(ナトリウム)をため込んでK(カリウム)を放出する働きがあるので、多く摂取するとむくみを生じるという薬理研究結果が出ています。
自由に漢方薬を処方している中国では、全体のバランスを考えて甘草の分量も決めるので、取りすぎの害なんて出ませんが、日本では市販されている漢方薬を飲んでいるので、いくつもの種類を一度に飲んでいる人は、ひょっとしたら甘草の取りすぎかもしれません。
私自身も、補中益気湯と平胃散を併用することがあり、まあ二つぐらいなら問題ないでしょうけれど、むくみを取りたくて飲んでいるのに逆にむくんじゃうなんてことがある...かもしれませんね。
それと、リコリス(甘草)を単品で摂取している方や、リコリス入りのお菓子も、気にした方がいいのかも。
漢方薬にだけ気をつけていて、これらにも気をつけないのは、塩分を気にしているのに塩分を多く含む練り製品をしょっちゅう食べているのにも似ています。
以前、ちくわが大好きな猫が、膀胱炎になったという話を聞いたことがあります。
猫には塩分過多は、禁物ですものね(少量ならいいみたい。米国の手作りご飯にはちょっと入ってるレシピがある。)