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バラの精油は豪華だけれど

バラ(ソンブレイユ・バリエガータデボローニャ・マダムイザクプレール)<br />
今はバラの咲く季節。
この写真のバラのうち赤紫のは、マダム・イザク・プレール。
ふくいくとしたバラ特有の濃厚な香りを放っています。
化粧水にローズウォーター(芳香蒸留水)を使うと、生のバラとダブルで香りが漂い、ローズの精油の入った石けんを使うと、さらにトリプルになって、今どれが香ったのかわからなくなり、バラの魔法にからめとられたようになります。

バラは古代から、その芳しい香りゆえ花の女王と呼ばれ、交配を繰り返されていますが、精油に使われる品種は、Rosa Damascena(ロサ・ダマスケーナ)という原種の一つで、一般にはダマスクローズといわれます。
中国が起源のものはチャイナと呼ばれていて四季咲きが多いのですが、中薬に使われる玫瑰花(マイカイカ)はハマナスのことで茎に細かい毛がびっしり生えていますし、月季花はコウシンバラ (Rosa chinensis) のつぼみ、金桜子はナニワイバラ (Rosa laevigata) の実です。

メディカルアロマで使われるエルバ・エルヴェティカのラインナップでは、現在、ローズの精油はありません。
その理由は、医療用に使うには高価すぎるから、というもの。
非常に合理主義のヨーロッパ人にとっては、その理由だけで使われなくても当たり前ということになるのでしょうが、バラの香りが大好きな私にとっては寂しい限り。

アロマテラピーが香りの療法だと思っている人にとっても、『えっ、ローズがないの!』と、いうことになるでしょう。
社名が変わりエルバ・エルヴェティカになったのですが、旧エステル社のときはローズもラインナップされていたと聞き、まだそれを扱っているところで、名残を惜しんでローズの精油を購入しました。

ですから、分析表(ちゃんと合計が100%になる、細部まで記載されたすごい表です)もあるので、そのロットの主要な成分を記載しておきます。
分析表は、その精油の割合を示すもので、何cc入っているというものではありません。
精油全体のうち、その成分が何パーセントの割合で入っているということで、全体のバランスをみることができます。

1%に満たないものは、省略して(1%に満たない成分がとっても大事なこともあります)、
カラムという管を通って時系列に抽出された成分は、

No. 経過時分 成分
25 63.6 HEPTADECANE C17 +

NERAL

3.05
36 68.3 CITRONNELLOL 23.4
39 70.5 NEROL 6.41
43 73.3 GERANIOL 11.89
45 76.1 NONADECANE C19 18.94
46 77.0 9 NONADECANE C19 4.73
49 81.5 ELCOSANE C20 1.90
51 83.2 METHYLEUGENOL 1.90
53 87.1 HENEICOSANE C21 8.70
58 91.7 EUGENOL 1.06
68 97.2 TRICOSANE C23 MW=324 1.75
72 100.5 E,E-FARNESOL 1.57

このロットは76まで成分が抽出されています。
分析時間の後半に主要成分が多い精油は、分子の軽い揮発性の成分を多く含まない精油ということです。
バラの複雑な香りは、こんなところからも来ているのでしょうね。


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