整体か鍼か漢方薬か?
体の調子が悪くなったら、病院に行く人が大半。
健康保険のおかげで、事故負担分が少なく済むのが大きいけれど、日本の医療現場は西洋医学が主で東洋医学を併設しているところはとても少ないし、保険でまかなわれるマッサージや鍼は限度があるし、漢方薬も日本薬局方にあるものは中国に比べると非常に少ないのです。
また、病気とはいえない程度の体の不調、たとえば肩凝りや、やる気がでなくてだるい、ストレスを感じ過ぎてリラックスしたい、ときなどは整体に行っちゃう、なんて人が多いのではないでしょうか?
どんな状態のときはどんな療法が適しているのか?
今日は、その指針を古典から。
『黄帝内経・素問・異法方宜論』には、広い中国大陸のうちで、それぞれどのような地域からどんな療法が発生したかが記述されています。
東方は海に面していて、魚や塩をとることが癰(はれもの、できもの)が出やすい。 だから、それを切開する砭石(へんせき)が発展した。西方は鉱物が採れ、太っている人が多く、病が内にこもりやすい(鉱毒が溜まりやすい)。
だから、毒薬(漢方薬)がよく用いられた。北方は寒く乳製品を多くとり、お腹が張る。
だから、お灸が発展した。南方は多湿で酸味を多くとり、痙攣やしびれが多い。
だから、鍼が用いられた。中央は気候のかたよりがなく、民はいろいろな食べ物を手にできあまり運動をしないので、筋肉が無力になったり冷えのぼせする。
だから、按摩・気功が発展した。
都会に住み、栄養豊富なものをいろいろ食べ、筋無力になっている人はマッサージが良いのかもしれません。
高温多湿な夏は、鍼が適しているのかも。
冬は閉蔵の季節だから、やはりお灸がよいのかも。
体の外が具合が悪くならず、内臓に問題があるときは、漢方薬がいいのでしょう。
<参考記事>中医学的治療の選び方