麻、古くて新しい植物
大麻という字を見ると、すぐ麻薬を想像し、良からぬ植物である印象を持つのが普通の日本人だと思います。
おお幣(おおぬさ)は大麻という字もあてるので、
ある神主さんが、郵便振替をするとき大麻代と書き、あやうく通報されかけた、なんていう話もあるそうです。
古来の日本では、麻の葉模様に残されているように、大麻草は身近な植物だったようですし、麻布(あざぶ)という地名は麻の布を取引する店が多かったところから付いた名だとか、麻の字がつくことばはたくさんあります。
麻はいろいろな種類があり、通常麻と表示されている繊維は、リネン(亜麻、フラックス)と苧麻(ちょま、ラミー)だけで、従来栽培されていた大麻草は指定外繊維なんだとか。
忘れ去られた植物、それが大麻草です。
大麻は大きな麻、つまり丈の高い生長の早い植物で、忍者が麻の実をまいて跳躍の練習をしたのは、この大麻草らしい。
2か月で2〜3mになり、背の高いものでは8mにもなるそうです。
神主さんの着物も注連縄(しめなわ)も麻でできていて、御祓いに用いる繊維も麻。
麻は、邪気を祓うと思われてたんですね。
これは精神的な意味にとられますが、チェルノブイリの事故で放射能汚染された土壌を浄化するのに使われたのが産業用の大麻だそうです。
THC(テトラ・ヒドラ・カンナビノール)という陶酔成分の少ない品種(Cannabis sativa)をさらにTHCの少ないものに改良されたのが産業用大麻で、嗜好品としての大麻というとTHC含有量が多いインド麻(Cannabis indica)のことをいうようです。
古来より日本で栽培されていたのはもともとTHCの少ない品種で、いろいろなものに利用していた神聖な植物を、大麻取締法のおかげで許可制でしか栽培できなくなったのはどこぞの陰謀ではないか、と勘ぐるむきもありますが、放射能をも除去できる自然がもたらした産物、それが大麻草なのではないでしょうか。
中薬としては、麻子仁(ましにん)、種を便秘薬に使います。
種の中の脂肪分が、腸のすべりを良くすると考えられています。
<参考>
麻、大麻草、ヘンプ、マリファナ、大麻〜定義とイメージ〜
植物が世界を変える日
画像検索→大麻(Cannabis sativa L. )・インド麻(Cannabis indica)・亜麻(Linum usitatissimum)・苧麻(Boehmeria nivea)、ジュート麻(Corchorus capsularis)・マニラ麻(Musa textilis)・サイザル麻(Agave sisalana)・ケナフ(Hibiscus cannabinus)
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