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2007年08月09日

ハンガリーの薬酒、ウニクム

ウニクム<br />
ウニクムは、ハンガリーに行ったら、レストランで飲んだり、おみやげに買う人が多いのではないでしょうか。
ウニクムは、英語でいうところの『ユニーク』の意味。

日本では、ユニークは、個性的とか変わってるとか、とらえられることが多いですが、数学の世界では『たった一つの』という意味もあります。
ハンガリーを統治していたハプスブルグ家の皇帝に献上された際、ウニクムを飲んだ皇帝が「Unicum」
と言ったのが、このお酒の名前になったとか。

ビター系のお酒という評価があり、そのせいか食べ過ぎた後の胃腸に良いと言われておりますが、あの叶姉妹も愛飲しているという噂です。
叶姉妹が愛飲しているなら、美容に良いということですね。
判断の材料が成分からではなく、人の評価からでごめんなさい。

この手の薬酒は、作り方は門外不出のものが多く、公開なんてされてないんですよね(HPに載っていたらごめんなさい。ハンガリー語がわからないので。)
チェコの薬酒であるベヘロフカも、何が入っているのかわかりませんでしたし。

日本の養命酒は、どんな生薬が使われているかをきちんとHPで公開されてますので、体を温め、気を補うものが多いので虚証の人に良いとか判断がつきます。

お味は、別に普通の薬酒って感じでした。ちょっと違和感あり。
普通の方が飲み馴れない薬茶をしょっちゅう飲んでいるので、舌が一般人とは違うかもしれません。
どこの国でも、植物の薬効成分を抽出するために度数の高いお酒を使っていますが、多くのものを使うと味は混ざり合って、単品で抽出したときより際立った味にはならない。
薬酒に関しては、幅広くいろいろな味があり、効能も数限りなく種類がある、やはり中国に軍配が上がるかな。

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2006年12月04日

養命酒はやっぱり温性が強い

薬膳の実習時、豚バラ肉に、肉桂丁香八角小茴香の粉末をまぶして蒸す料理をやったそうです。
私は、その授業は出ていないので、後日この料理は再現しようかと思ってます。
そのとき、養命酒にも肉桂や丁香が入っているという話になったようで、先生は温性が強いお酒だと思ったそうです。

昔から虚弱な人が飲むというイメージがある養命酒(昔山本学さんがCMに出ていませんでしたか)ですが、ことさら内容を確認したことはなかったので、ちょっと中身を覗いてみることにしました。

生薬 mg(60ml中) 学名 性味 効能 説明
烏樟 594 Cinnamomum camphora(L.) Presl. 辛/温 袪風散寒、温胃和中、理気止痛 学名から察すると楠の木のようです。クロモジといわれているようですが、樹皮を使っているそうです。
桂皮 270 Cinnamomum cassia BLUME 辛、甘/大熱 補火助陽、散寒止痛、温痛経脈 クスノキ科のケイの幹皮
淫羊藿 114 Epimedium macranthum MORR. et DENCNE. やE. sagittatum MAXIM, E.brevicornum MAXIM. 辛、甘/温 補腎壮陽、祛風除湿 シロバナイカリソウ、ホザキイカリソウ などの葉
防風 96 Saposhnikovia divaricata SCHISCHKIN (Ledebouriella seseloides WOLFF) 辛、甘/微温 祛風解表、勝湿、止痛、解痙 ボウフウの根及び根茎
地黄 60 Rehmannia glutinosa LIBOSCH. やR. glutinosa LIBOSCH. var. hueichingensis CHAO et SCHIH 甘/微温 養血滋陰、補精益髄 ジオウ や、カイケイジオウ の肥大根を乾燥したのち、酒で蒸して熟製したもの
芍薬 60 Paonia lactiflora PALL. 苦、酸/微寒 養血斂陰、柔肝止痛、平抑肝陽 シャクヤク のコルク皮を除去し、そのままあるいは湯通しして乾燥した根
人参 60 Panax ginseng C.A. MEYER 甘、微苦/微温 大補元気、補脾益肺、生津止渇、安神益智 オタネニンジンの根
益母草 48 Leonurus sibiricus L. およびL. japonicus HOUTT. 辛、微苦/微寒 活血祛瘀、利尿消腫 ホソバメハジキ およびメハジキ の全草
肉蓯蓉 48 Cistanche salsa G. BECK 甘、鹹/温 補腎陽、益精血、潤腸通便 ホンオニク の肉質茎
鬱金 36 Curcuma longa L. ならびにC. aromatica SALISB. 辛、苦/寒 活血止痛、行気解鬱、凉血清心、利胆退黄 ウコン ならびにハルウコン の塊根
丁子 24 Syzygium aromaticum MERR. et Perry 辛/温 温中降逆、温腎助陽 チョウジノキ の花蕾
杜仲 18 Eucommia ulmoides OLIV. 甘/温 補肝腎、強筋骨、安胎 トチュウの樹皮
紅花 12 Carthamus tinctorius L. 辛/温 活血祛瘀、通経 ベニバナ の管状花
反鼻 12 Agkistrodon halys Palls 甘/温 袪風、攻毒 マムシの内蔵を取り除いた全体を乾燥したもの

内容量に応じて、表示しています。
芍薬と書かれていたら通常は白芍だし、地黄と書かれているのは熟地黄だと思いましたので、それで内容を入れてます。
烏樟の学名は、樟脳と同じものです。
ただし、樟脳は、クスノキ科LauraceaeのクスノキCinnamomum camphora PRESL.の材、枝、葉、根などを蒸留精製して得られる揮発性の結晶と中薬の本には記載されていますので、同じ植物の樹皮が烏樟と思われます。

適応症は、胃腸虚弱、食欲不振、胃寒肢冷、過労などですから、やはり体が冷えていて虚証の人に良いお酒ですね。
注意事項として、高血圧、胃潰瘍患者忌服と書かれているサイトがありました。
養命酒のサイトでは、少量なら問題ないように書かれていますが、そのような症状の方なら別のお酒のほうがよろしいかと思います。
マムシが入ってるお酒だと、やはり強壮薬のイメージですね。

2006年01月22日

花梨(かりん)酒

花梨酒花梨は生でその辺にころがしていると、とっても良い匂いを放ちます。
お酒にする前に黄色く熟すまで、ほおっておいた花梨は辺りにバラ科特有の甘い香りを漂わせていました。

それをお酒にしたのが、もう飲み頃です。
味はうすい梅酒といった感がありますが、梅酒とは別の良い香りがいたします。
例によって、お酒は黒砂糖のお酒を使っているので、ばっちりおいしくない訳がありません。
でもね、味だけでいえば梅酒が最高です。

花梨の性は寒、味は苦で、咳を鎮め、鎮痛効果があり、疲労回復の働きがあります。
冬の季節、温まるし風邪対策によいですね。
しかし、アレルギーの咳にはアルコールはよろしくないです。
よけいに咳き込んだりしますから、ご用心を。

2006年01月06日

さんざし酒

サンザシ酒サンザシは食べ過ぎによる腹部膨満感、腹痛などに効果があり、特に油っこいものやお肉を消化する能力に優れています。
血液をサラサラにし、瘀血を散らしてくれるので、高脂血症や高血圧の治療にも使われています。

秋に北京に行ったときには、サンザシの飴がけが串に刺して屋台などで売られていました。
金柑ぐらいの大きさの小さな赤い実で、北京中医薬大の庭にも植えられていました。

たぶん、おいしさを追求したら、生のサンザシをお酒に漬けた方がおいしいのでしょう。
なぜなら、酸っぱさのあるものの方がお酒にしたときにおいしいと思うからです。
たとえば、梅にしろ、金柑にしろ、花梨にしろ、氷砂糖もいれるので、甘酸っぱくて飲みやすく、女性に好まれる味になります。

あいにく、私のところでは生は手に入らないので、漢方薬局で買ったドライのものを使いました。
もちろん中華食材として売られているので、中華街などに行くと簡単に購入することができます。
ドライのサンザシは水気がないので、サンザシ酒そのものがそれほど甘酸っぱいとはいえません。

一度味見をしたら、元の黒溏酒の味しかわからないほどでしたので、ただいま、再びサンザシを足して熟成中です。

2006年01月01日

お屠蘇

お正月はお屠蘇をいただいて、邪気を払いましょう。

屠蘇散は、嵯峨天皇の御世、唐から来た蘇明という人が献上した霊薬で、天皇が元旦から三日間、清涼殿での四方拝の後、御神酒にお屠蘇を浸して用いられたのが始まりだそうです。

市販の屠蘇散は成分がそれぞれ多少異なるようですが、たまたま仕入れた屠蘇散の中身は、
桂皮・山椒・陳皮・桔梗・大茴香・丁子、白朮・浜防風でした。

体を温め、お腹の調子を整え、風邪を引かぬよう調整されていたんですね。

材料 性味 四気 帰経 効能
桂皮(肉桂) 辛、甘 腎、脾、心、肝 補火助陽、散寒止痛、温痛経脈
山椒 脾、肺、腎 温中散寒、除湿
陳皮 辛、苦 脾、肺 理気、調中、燥湿、化痰
桔梗 辛、苦 開宣肺気、祛痰、排膿
大茴香(八角) 肝、腎、脾、胃 散寒止痛、理気和胃
丁子(クローブ) 肺、胃、腎 温中降逆、温腎助陽
白朮(オケラの根) 苦、甘 脾、胃 補気健脾、燥湿利水、止汗安胎
浜防風(沙参) 微寒 肺、胃 清肺養陰、益胃生津

2005年12月17日

楊貴美酒

楊貴美酒

レシピは「漢方実用大事典」学研

当帰15g、芍薬8g、牡丹皮7g、茯苓8g、龍眼肉15g、香附子7g、紅花10g、山梔子5g、薄荷5g、柴胡5g、菊花5g、大棗10g、ホワイトリカー1リットル、氷砂糖適宜

生理不順、血色不良、貧血、美容、保健強壮に良い、と本には記載されていました。

このお酒を作るのには、お金がかかります。
12種類もの生薬を必要とし、このお酒を仕込むとき、家にはなかった芍薬、牡丹皮、香附子、山梔子、薄荷、柴胡を買わなければなりませんでした。
私は冷え性なので、これらの凉性の生薬はあまり必要としないからです。

薬酒は、単方のほうがストレートに入れた薬の味が伝わるし、一般的に飲みやすいと思います。
複方は、何種類もの薬を入れた分、味は複雑で、どちらかといえば薬臭く飲みにくいものです。
この楊貴美酒もそのくちで、お酒の縁の色が黄色いのは、紅花から黄色が出ているのです。

何とも形容しがたい味で、後口は薄荷が入っているので喉がスースーします。
しかし、何年も前に初めて味見をしたときからすれば、生薬慣れしたというか、違和感がなくなってきました。
実は、以前にも楊貴美酒を作ったことがあるのです。そのときは、全部の生薬を手に入れなければならなかったので、(それも少量ずつ)、さらに大変でした。

血を増し、血色をよくして肌を美しく、効果は顕著

なんていうキャッチフレーズを書かれると、ついその気になってしまいますね。
しかし、薄荷のスースーが味的にはどうも気になり、つい、楊貴妃は喉を傷めやすかったのかしら、なんて想像してしまいます。

中薬 性味 四気 帰経 効能
当帰 甘、辛 心、肝、脾 補血、活血、止痛、潤腸
芍薬 苦、酸 微寒 肝、脾 養血斂陰、柔肝止痛、平抑肝陽
牡丹皮 苦、辛 微寒 心、肝、腎 清熱涼血、活血散瘀
茯苓 甘、淡 心、脾、腎 利水滲湿、健脾安神
龍眼肉 心、脾 補心脾、益気血
香附子 辛、微苦、微甘 肝、三焦 疏肝理気、調経止痛
紅花 心、肝 活血祛瘀、通経
山梔子 心、肺、胃、三焦 瀉火除煩、清熱利湿、凉血解毒
薄荷 肝、肺 疏散風熱、清利頭目、利咽、透疹
柴胡 苦、微辛 微寒 心包、肝、三焦、胆 和解退熱、疏肝解鬱、昇挙陽気
菊花 辛、甘、苦 微寒 肝、肺 疏風清熱、解毒、明目
大棗 脾、胃 補中益気、養血安神、緩和薬物

2005年12月03日

最高の梅酒

梅酒

梅酒は、甲類であるホワイトリカーを使うものとばっかり思い込んでいたら、森下竹千代先生から、薬酒の実習のときに、黒糖酒で作るとおいしいとうかがい、試してみたものです。
奄美大島で作られる黒糖酒は高価でしたが、できあがった梅酒のできばえは、

「おいひ〜」

という声が思わず飛び出るほど。

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