廃油せっけん
廃油せっけんといっても、私にとっては食べ物を作るときに活躍している油なので、捨てようと思っているわけではありません。
昔の人は、新しい油を継ぎ足し継ぎ足し使っていたという方法をそのまま踏襲しているので、使用済み油を捨てたりしたことはめったにないのです(さすがに2か月入院して、退院したときには捨てました)。
油は酸化しやすいから、1〜2回使用したものは固めて捨てるとか、ごくごく少量をミルクポットで揚げ物に使うという方もいますが、継ぎ足す方法で私は胸焼けを起こしたりしたことはないので、ちょっと疑問に思いつつも使い続けています。
『ためしてガッテン』のサイトでは、普通に家庭で油を使う分には酸化しないとありますし、コスロンという200枚重ねの濾紙で漉すとかなりきれいな油になるのです。
しかし、そのコスロンの濾紙の在庫がなくなり、ちょっとケチって何回も使ったので、一度は廃油せっけんに挑戦してみよう、濾紙を注文したので油も一新しようと思ったのです。
月見草油やローズヒップ油は、冷蔵庫に入れたまま酸化してしまい(天ぷら油のような臭いがしたし、顔につけてみると、気のせいか何だか痒くなりました)、使用したわけではないけれど古くなった油として、オイルポットの菜種油と合わせ、パーム油とココナッツ油も加えました。
前田京子さんは、鹸化価が同じぐらいのオリーブ油、ゴマ油、椿油を1回か2回使用したものとパーム油、ココナッツ油を合わせて(マルセイユ石鹸の配分)石鹸を作っていらっしゃるようです (お風呂の愉しみネットストア、バックナンバー142、会員にならないと読むことはできません)が、何回も使用していないので浴用にも使用可能なくらいのものができるそうです。
私の場合は、何回使用したかわからないほど。
最近でこそ、その回数は少なくなってきましたが、忙しいときほど油を使う回数が増えるのです。
油は、食材に火を入れる温度が高いのですぐに料理ができる、それが理由なのと、中華を作るときに強火で炒めるのは鉄則ですが、油通しをしてから一気に食材に火を通す方がシャキシャキしておいしいからです。
石鹸には、ちこのアロマ館さんを参考にして重曹を入れてあります。
重曹を入れることで、臭い消しと研磨力を期待して。
さすがに、使用済油で顔やボディを洗う気にはならないので、掃除や洗濯に使うためには重曹が活躍してくれると思ったのです(私は食器洗い用には、通常石鹸(もちろん洗剤も)は使いません)。
どれくらい立っているのかわからないほど古い緑茶も、前田式温浸法(よもぎのマルセイユ参照)でオイルにインフューズドしました。
インフューズドオイルを仕込むのに、少なくとも前日からやる必要があったのですが、単に臭い消しのためだったら、たっぷり入った重曹でカバーできていたかもしれません。
写真の状態では、天ぷら油特有の臭いはあまりしないからです。
鼻を近づけると天ぷらの匂いですが、その匂いが漂うわけではありません。
鹸化率は、一応100%で計算しましたが、鹸化価そのものがその油の平均だし、いろいろ投入した食材の脂肪分も溶けだして、不鹸化物もたくさん入っていることでしょうから、机上の計算かもしれません。
材料は、
使用済なたね油 310g
月見草油 25g、ローズヒップオイル 25g
パーム油 50g、ココナッツ油 90g
緑茶 大さじ1、重曹 半カップ
コールドプロセスの場合、油と苛性ソーダを合わせ、最初の20分間はかき混ぜ続けますが、重曹は残り5分のときに少しずつ加えました。
不鹸化物が多いと固まりやすいし、型入れできるほどもったり固まったときに、多めの重曹を加えるのはきれいに混ざらないかもしれないと考えたからです。
案の定、型入れできるまで放っておいたら置き過ぎてしまい、もったりを通り越してしまいましたので、波うったまま乾燥してしまいました。
[使用感]
私はこの廃油石けんを食器洗いではなく、お鍋やボールに使っているので、かえってステンレス部分が光ってきたなあ、ぐらいにしか感じていませんでしたが、母がこれを食器に使ったところ、何だかヌルヌルするんだけど、というコメントでした。
廃油ではなく、新しいオイルから作ったキッチンソープ(クレイと重曹を入れたもの)を渡したら、それはヌルヌルはしなかったとか。
それで、考えてしまいました。
廃油は天ぷらやフライに使っているし、豚や海老、イカなどを揚げています。
でも、それらの脂肪分や不鹸化物のことは考慮に入れずに、石けんに入れる油脂の鹸化価だけで100%になるように計算したので、そのせいで石けんになりきれない部分がヌルヌルを起こすのかな、と。
新しいオイルから作成したキッチンソープは、理論上は97%の鹸化率なので、余剰オイルがあることは確かなんですが、ココナッツ40%なのでサッパリ感があるのも起因しているのでしょうか。
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