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2011年03月05日

衛益顆粒は花粉症の味方?

衛益顆粒寒かった冬から万物が活動的になる春の季節は本来ならウキウキしてくる季節ですが、アレルギー持ちの者にとっては一番つらい季節でもあります。
私は生まれつきアレルギー体質でしたので、春だけが不得意な花粉症の方たちとも、ちと異なりますが、一年中で春が一番体調がおもわしくありません。

眠っている間は暑さ寒さをコントロールできず、寒すぎてもよく 眠れないし、暑くても目が覚めてしまいます。
先日はかなり暖かい日があり、布団から腕を出して寝ていたら逆に冷えて、起きたときはグシャングシャンとくしゃみの連続。

それ以来風邪気味なのか、春でアレルギーを起こしているのかわからなくなりました。
体温コントロールができなくなり、ヒーターにあたっていてもあまり温かさを感じられないような状態です。
それは、湯冷めをしそうなときと似たような感覚。
体の表面を守っている番兵(衛気)が手薄になって、邪気(この場合は寒気)が押し寄せてきてもガードしきれずに内部に侵入するのを許してしまう、といった感じです。

そんなときには、『玉屏風散(ぎょくへいふうさん)』。
玉(ぎょく)の屏風、つまり宝石の屏風のように貴重なもので体にバリアーを張る、というわけです。
邪気は防風(ぼうふう)が追い払い、気が不足している状態なので黄耆(おうぎ)で体表を固めて防衛し、白朮(びゃくじゅつ)で内部の気も補います。

これは、イスクラから『衛益顆粒』という名前で市販されていますが、体のバリアーが不足している花粉症の人にも有効といわれています。
効能は、虚弱体質・疲労倦怠感・寝汗と書かれていますが、私のような冷え性の人や、暑いわけでもないのに汗腺が勝手に開いてだらだら汗をかく自汗の人にも効きますよ。

<参考>
衛益顆粒(玉屏風散)が花粉症に効かないという先生もいる
花粉症の季節ですね

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ナチュラルライフへ


2009年03月26日

ヒューゲン(剤盛堂薬品)

私は生まれつきのアレルギー体質でしたが、大人になってから喘息にかかりました。
小児喘息は治りやすいと言われていますが、大人になって罹患すると、「軽快」にはなっても「治癒」とまではなりません。

風邪をひいたりすると大変。
風邪の症状は良くなっても、喘息の部分が残ってしまい、こもったような咳が続きます。

そんなときの私のお助けは「ヒューゲン」。
これは漢方製剤で、中国の方剤の何かの加減というわけではなさそう。

以前、咳が出ているのに、博多に旅行しなければならなくなったとき、とある商店街の薬局で、ダメモトで
「ヒューゲンありますか」
と、聞いたところ、なんと、粉末で調整したヒューゲンを手に入れることができました。
旅行中、だんだん、具合は良くなり、友人の方が風邪で調子が悪くなったくらい。
ほんと、咳にはよく効きます。

シャゼンシエキス
内容 量(mg)
カンゾウ末 900
チンピエキス 450
ソヨウエキス 100
ショウキョウ末 100
ゴミシエキス 50
ハンゲエキス 50
サイシンエキス 45
キョウニンエキス 40
25
カロニンエキス 25
ノスカピン 45
マレイン酸クロルフェニラミン 9

これが、ヒューゲン1日分の内容です。
容量の多い順にすると、やたらと甘草が入ってますね、それに陳皮も。
ノスカピンやマレイン酸クロルフェニラミンは、気管支拡張や鎮咳の意味で配合されてるようですね。

剤盛堂薬品は、通称ホノミ漢方と書かれていますが、こちらの薬は漢方薬といっても独自の名前で、ホノピレチン、エスマーゲン、ジョッキ、パナパールとか、変わった名前が多いのです。
でも、効くものも多いので、私は結構好きです。

2009年01月12日

骨折に効く漢方薬は?

イーパオ<br />
骨盤4箇所と両足を骨折して6か月。

あちこち骨折した箇所が多いせいか、体の中はトンカントンカン、骨を修復中。
血液検査では、ALPの値が高く、医者は骨再生中を認識してるみたい。(ALP、アルカリフォスファターゼは骨芽細胞膜に存在し、骨形成の際に血中に流出)

いまだ、恥骨と座骨の一番損傷した箇所は2箇所、骨がくっついていません。
恥骨と座骨部分は3箇所折れ、そのうち一か所はX線写真で私が見ても、『おっ、くっついてきてる』と判断できますが、2箇所は骨と骨の間隔が空いていて空間が広がっています。

「ずいぶん長い間、くっつかないものなんですね」という私の問いに、医者は、
「それだけ、衝撃が大きかったということでしょう」と、答えます。
でも、2箇所のうち上の部分は、白さが他よりちょっと際立っていて、医者は、
「裏の方からくっついてきている」というのです。

ちょっと長い間歩いたり、座っている時間が長く立ち上がろうとすると、座骨部分が鈍く痛んだりするので、X線写真を見るまでもなく、まだ骨はつながっていないというのを認識します。
こんなに長い間かかると、眠りも浅いし、階段を上るのが一番難儀。
スポーツだって、いつになったらできるのやら。
金匱腎気丸は持っていたので、漢方薬屋で薦められたイーパオを一緒に飲むことに。
このイーパオは、実は食用蟻の粉末にハトムギや葛を加えて錠剤にしたもの。

はー、アリですか?
でも、ミミズ(地竜)ムカデ(蜈蜙)ヘビ(白花蛇)に比べれば、飲めるかも。
と、気を取り直し、飲み始めました。

五行のうち『筋脈肉皮骨』は五主と呼ばれ、五臓がそれぞれつかさどっているもの。
腎がつさどるのは骨。
ですから、補腎の漢方薬を飲むと骨の増殖を助けます。

補腎の食べ物は黒い色をしたもの、海苔・ひじき・黒胡麻・昆布などなど。
だから、黒アリは腎の機能を助けてくれます。
科学的には、アリは亜鉛の含有量が多く、性機能に関連する臓器に多く含まれているので、セックスミネラルとも呼ばれているとか。
それゆえ、不妊症の方に飲まれていいるようです。

それに、アリは土の中をどんどん潜っていく---だから通絡と、ほかには活血・消腫・散結のはたらきがあるみたい。
他には自分の体重の400倍のものを運べる力持ちとのことからも、骨に効きそう。

恥骨と座骨部分がくっつかないという症状からすると、ぴったりのものかもしれません。
これを飲んだ後は、体が温かくなるような気がするんですよね。
もともと陽虚がひどく、他の人と比べるととんでもなく冷えてトイレが近い私は、骨折後は頻繁にトイレにいかなければならなくなりました。
温まっていれば問題ないのですが、冷えると膀胱に貯まっている尿量にかかわらず、トイレに行きたくなります。

腎は水の代謝を行う臓器、膀胱は腎とは表裏の関係にあり、膀胱の気化がうまく行われないと、トイレ後もすっきりしない残尿感が残ります。
そして、腎はエネルギーの源であり、精を臓する場所。
腎は、体の中のすべての気の源であり、骨折するということは骨再生のために気がそちらにいってしまい、他の部分が手薄になるのです。

母の友だちで骨折しやすい方がいて、また腰椎を骨折したら、漏れやすかった尿の量が増えたと聞きます。

今まで、医者が驚くほど回復力が早かった私は、ときどき腎気丸を飲むぐらいで漢方薬の必要性をあまり感じませんでした。
が、これではいけない。
早く骨を修復しなければ、早かったと思っていた回復が遅滞してしまう。

漢方薬は、飲んでみれば自分に効いているかどうかわかります。
あれ、なんとなく効いているような...そんな、気持ちを持てれば、その薬はオーケーです。
きちんと、証にあっていれば、薬が手助けしてくれる、それが中医学のうれしいところです。

2008年03月19日

衛益顆粒(玉屏風散)が花粉症に効かないという先生もいる

花粉症の予防に玉屏風散が効くというフレーズはよく聞きますが、そういっているのはたいがい薬局系のサイトだったりします。
体の表面を守っている衛気(えき)が不足している状態にあるので、それを補ってあげて、玉(ぎょく、宝石のことです)でできた屏風でさえぎろうというのが主旨です。

私の場合は、元々アレルギー体質で花粉の季節はいつも不調ですが、毛穴が半開きになっていて体が寒いと感じているのに汗が出て行くということが多々あるのです。
それを中医学では衛表不固(体の表面の守りが固くない)といいますが、花粉症の人がみなこのような状態かというとそんなことはないようです。

夏の冷房の風が吹いて来ると、半開きの毛穴に風寒の邪気がやって来て、他の人たちが涼しい、快適と感じているとき、私は『この風嫌い、吹かないでほしい』と思っているのです。
でも、同じ花粉症の人でも、冷風が平気な人も沢山います。

ですから、衛表不固の人に向く玉屏風散が花粉症に効くという病気の機序が今一つわかりかねていました。
バリアーを張るだけでいいのか?

風邪をひいて治りかけて来ると咳が出てくるという状態で、すでに3週間ぐらいたちます。
それで、千代田漢方クリニックに先週行きました。
その時、処方されたのは「二陳湯」と「五虎湯」で、週末は調子が戻っても会社に行くと咳が出てきます。
再び、クリニックに行き、水曜担当の斉藤先生が処方なさったのは、「麦門冬湯」と西洋薬でした。

先週なかった症状で今あるのは、かすれ声と喉の痛み(これって二陳湯のせいかな)。
潤いを持たせれば花粉が落ちやすくなって、花粉のせいで咳が出ているのではないかというのが先生の見立てです。

その際、家に玉屏風散があるのですがと言ったところ、先生は、
「ダメです。
玉屏風散黄耆白朮が入っていて温性だから、目の痒みや鼻が充血しているという風熱の症状には反対のものだから。いろいろな説があるようだけれど、私はダメだと思ってます。」
と、いわれました。
先に予防のためにバリアーを張るというのはどうですか、という問いにも
「ダメです。寒の季節なら良いけど。」とのこと。

鼻みずズルズルだけでなく、目も痒いし、喉も痛い、咳まで出ている私の症状では、玉屏風散は止めておいた方がよさそうですが、鼻みずズルズルだけだったら玉屏風散は効きそうな気もするのですが。

2007年12月06日

ぴったりの漢方薬を選ぶのってむずかしい

私の頭の湿疹に、劇的に効いたのは、
黄連解毒湯と平胃散でした。

でも、それらが、どんな症状に対応しているのかをネットで検索すると、

黄連解毒湯−比較的体力があり、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらする傾向のある次の諸症:鼻出血・不眠症・ノイローゼ・胃炎・二日酔・血の道症・めまい・動悸

平胃散−胃がもたれる傾向のある次の諸症:食欲不振・胃アトニー

などの記載があります。
おそらく、市販の薬を購入すると、このように書かれているのではないでしょうか。

私の場合は胃もたれや胃炎も起こしていないし、顔色はどちらかというと悪い方だし、出血も不眠も全然ありません。
一般論でいうと、黄連解毒湯も平胃散も、これらの症状がある人に向いた薬とはいえると思いますが、これはあくまでも典型的な症状を持っている場合。
実際の人間にぴったり当てはまるはずもありません。

では、ぴったりの漢方薬を導き出すにはどうすれば良いのか。
専門家の意見をうかがうのが一番、ということになります。

漢方薬は、西洋薬のように対症療法(症状に対して治療する)で薬を選ぶのではなく、症状や体質から中医学特有の「証」を考え、それに合った方剤を選びます。

それでは、黄連解毒湯とはどんな薬でしょうか。
虚証で生じた火ではなく、実火に対して処方される清熱解毒薬であり、医師が私の湿疹の原因を実熱と踏んだから処方され、それが私にとって効いたということは、先生の見立てが合っていたということになります。
方意に記載の「発斑」は、まさしく私の湿疹の状態。
『本方の主治証は多いが、病因は一つしかない』とは、湿疹に限らず、体の中に火が燃えていてその熱毒が原因で現れたものには、別の病気にも使えるということです。
ただし、実火を冷ますための薬なのである程度体力のある人向き。
(自分に合っていたので、ある程度の体力があったのだと実感してます。)

そして、平胃散ですが、
湿疹の原因を湿熱と考えると、湿を取り除く必要があり、平胃散は湿が胃に留まっているときに効果を発揮します。
私の症状は、お腹が張っていて、体は重く、食べ過ぎの傾向があり、舌には歯痕があり、舌苔白膩(苔が白く潤っている。でも舌尖は赤い。)。

ネットで参考になったのは、アトピー性皮膚炎におすすめする漢方薬のサイトさんです。
なかなかわかりやすいし、効きそうですねえ。

<関連記事>
苦参丸(湿疹に)
頭の湿疹その後

2007年12月03日

方剤の1日分?

漢方薬<br />
漢方倉庫<br />
黒龍江中医薬大学の薬局で写した写真です。
セルロイドに処方された薬の量が、半端な量ではありません。
これ、多分セルロイド1枚分が、1日分の煎じ薬です。

漢方薬の本場とはいえ、これだけの量を煎じたら、ずい分濃いものができるんじゃないかな。
処方箋を見ながら、シュッシュッシュッと中薬を加えていく手つきに見とれていたら、いつの間にかこの量に。
日本なら一人ずつ各人に応じた処方を出す自費診療だったら、1日分が700〜800円ぐらいになるのに、本場中国なら格段に安い。
おそらく、1/4ぐらいじゃないでしょうか。

この処方箋は、内科だけではなく、推拿科や鍼灸科でも処方されます。
総合治療の方が効果があるといわれていますが、鍼の料金、推拿の料金、方剤の料金と、それぞれプラスされていく方式なので、医師も病院の経営を考えて、プラスしていく傾向があるかもしれません。
患者の方からしても、いろいろやってもらえた方が効いている気がしてくるので、需給バランスがとれているといえるかもしれません。

2007年11月19日

紅花油

紅花油<br />
黒龍江の薬局で買ってきた紅花油です。
紅花が入っているので、赤い色がついていますが、丁香の配合が多いのか、クロープのあの特有の香りがきつくて、こんなの皮膚につけたら気になって仕方がない、といった感です。

紅花油は、いろいろな中薬が入っている他の種類のものがありますが、そちらの方が使い勝手が良いかもしれません。
それでも、そちらは薄荷が強くて、皮膚につけたらやはりいつまでも気になりそうです。
匂いの強いものをつけるのって、過敏症の人間には抵抗あります。

2007年10月11日

苦参丸(湿疹に)

苦参丸<br />
黒竜江中医薬大学の研修旅行で、鍼灸科の教授である程先生の授業のとき、たまたま内容に関連して質問してみました。

「陰陽両虚のときの頭の湿疹には、何の方剤がよろしいですか。」
「苦参丸か蜈蜙〇〇丸」
と、先生がおっしゃったので、病院の研修時に王先生(推拿の先生です)に処方していただきました。

黒竜江中医薬大学の病院の先生たちは、鍼灸科でも推拿科でも漢方薬も処方しています。
推拿科の王先生は、推拿を施しつつ、鍼を打ち、吸い玉(実際はインターンの方がやってました)も、薬も処方しと、総合的に何でもされてらっしゃいました。
そういえば、問診の授業の王先生も何でもやってらしたのを拝見すると、中医はオールマイティといった感じがします。

ネットで検索すると、「苦参丸」は日本では販売されていないようです。
中国からの輸入品で、当帰苦参丸などがあるようですね。

私のいただいた苦参丸は、日本円にすると一箱300円ちょっとのお値段。
さすが、本場です。
お安い料金で漢方薬が手に入ります。
この苦参丸は、大学付属病院で作っているものなので、市販品よりさらに安いみたい。

主要成分は、
苦参:皮膚掻痒、皮膚化膿症、疥癬、麻風などに用いる
玄参:清熱解毒、散結消癰
黄連:癰腫瘡毒、疔毒、耳腫、目痛などに用いる
防風:風寒湿痺、関節疼痛、四肢攣急などの証に用いる
独活:風湿痺痛に用いる
枳殻:大黄、黄連、黄芩などを配合して瀉熱除湿、消積導滞する
黄芩:湿熱による多種病証に用いる
大黄: その清熱解毒と排便作用により、熱毒を排除させる
菊花:上焦風熱や頭目を清することができる

効能は、
祛風除湿、殺虫止痒。用途としては、疥癬瘡瘍、汗斑湿疹、蕁麻疹等。

湿疹という文字のとおり、湿熱があるので、清熱燥湿薬である苦参、黄連、黄芩を配し、湿を下すために大黄も入っているらしいのですが、私には大黄はきつすぎるような気がします。
大便がゆるくなっちゃって、朝、出かける前が、どうも心もとないんですよね。

「1日3丸でいいです。」
と、いわれたのですが、1丸の大きさが直径2cmぐらいの大玉。
少しずつかじって(軟らかい)、ぬるま湯で流し込んでいますが、ときどき喉にひっかかります。
朝の忙しいときに飲むには時間がないので、1日2丸をめざしてカジカジ(本当はナイフで細かく削る)。

薬量が少ないせいか、瞑眩(良くなる前のひどくなる状態)が出てきたのか、かえって痒いような気がします。
15日分処方してもらったので、とりあえずせっせと飲んでみます。

2007年08月01日

甘草にお気をつけあそばせ

葛根湯小青竜湯小柴胡湯四逆散逍遥散白虎湯竜胆瀉肝湯理中丸小建中湯四君子湯補中益気湯帰脾湯十全大補湯血腑逐瘀湯麦門冬湯平胃散防已黄耆湯独活寄生湯二陳湯

これらは、甘草を含む漢方薬です。
これ以外にも甘草を含む漢方薬はたくさんあって、枚挙にいとまがありません。

甘草は、大棗と同じく、薬性緩和の効能があるので、他の中薬の毒性を緩和する働きがあり、本によっては帰経が十二経と書かれているものもあり、使い安い中薬としてはナンバーワンではないでしょうか。
方剤の中には、数多く甘草が含まれています。

先日の漢方薬理学の授業のときのこと。
中国人の先生曰く、
「日本では甘草の分量を気にするけれど、私たちは気にしたことがなかったんです。
それはどういうことかというと、漢方薬の中には、それぞれの漢方薬ごとに甘草が含まれていて、その分量は漢方薬単位だから、甘草を含む漢方薬をたとえば三つ飲んだとすると、三倍の甘草を飲んだことになります。
私たちは、中薬全部合わせた一つの方剤の中で甘草の分量を決めるので、甘草を多くとりすぎる害は考えたことがありませんでした。」

そういえば、北京の東直門病院では、カットした紙の上に男性が処方された漢方薬をせっせと作っていましたっけ。(もちろん、自分で煎じるんですよ)

甘草は、Na(ナトリウム)をため込んでK(カリウム)を放出する働きがあるので、多く摂取するとむくみを生じるという薬理研究結果が出ています。

自由に漢方薬を処方している中国では、全体のバランスを考えて甘草の分量も決めるので、取りすぎの害なんて出ませんが、日本では市販されている漢方薬を飲んでいるので、いくつもの種類を一度に飲んでいる人は、ひょっとしたら甘草の取りすぎかもしれません。

私自身も、補中益気湯平胃散を併用することがあり、まあ二つぐらいなら問題ないでしょうけれど、むくみを取りたくて飲んでいるのに逆にむくんじゃうなんてことがある...かもしれませんね。

それと、リコリス(甘草)を単品で摂取している方や、リコリス入りのお菓子も、気にした方がいいのかも。
漢方薬にだけ気をつけていて、これらにも気をつけないのは、塩分を気にしているのに塩分を多く含む練り製品をしょっちゅう食べているのにも似ています。
以前、ちくわが大好きな猫が、膀胱炎になったという話を聞いたことがあります。
猫には塩分過多は、禁物ですものね(少量ならいいみたい。米国の手作りご飯にはちょっと入ってるレシピがある。)

2007年04月23日

独活寄生湯(膝関節が痛い)

以前から、ときどき痛む膝関節ですが、日常生活では気にすることなく過ごしてきました。
ところが2週間前、時間つなぎに行ったエアロビスクで、再び膝を傷めてしまいました。

レッグカール時(腰を落としながら、片足ずつ膝関節を後ろに曲げる)、インストラクターの「もっと、膝を深く曲げて!!」に合わせて膝を曲げてエクササイズをした後、いつものボクササイズも(その前にはテニスも2時間やってます)。

もう帰るときにはヘロヘロ状態。
階段を降りるのもままならないくらい、膝関節が痛みを主張してきます。
ああ、なんたること。

家に帰り、痛むたびに、サロンパスのエアゾールをシューッ、シューッ。
2〜3日、これをやったら、普通に歩くにはそれほど痛みを感じなくなりました。

1週間後、再びスポーツクラブへ。
膝関節には、膝の上の大腿四頭筋を鍛える必要があると思い、10年以上足を踏み入れていなかったジムへ行き、膝関節が痛いのだけれどと相談しました。

はてさて、やはり想像していたとおり、レッグカールの反対のレッグエクステンションを薦められました。
しかし、一番軽い重りでも、足を延ばすたびに痛みがツツツーッとやってきます。
あっ、いけない、膝関節のためと思ったのに、さらに傷めちゃった。

ここまでは、完全に世間一般にいわれている西洋医学的処置です。
さすがにこれでは、日常生活もままならなくなると、お灸することにしました。

膝関節は水の溜まりやすい所、熱の力も使い、
内膝眼犢鼻足三里太谿三陰交血海梁丘と取穴し、モクモクお灸すること、しばし。

これの最大の欠点は、換気が充分でないと、喉をやられることです。
いまだ、窓を開け放して、家の中に風が吹き渡るようにするには、風がいまいち冷たい。
結局、お灸は二日で断念しました。

そこで、お手軽な漢方薬の出番です。
防已黄耆湯がいいのかな、と推測しながら、いつもの漢方薬局へ。
水が溜まっているときは、防已黄耆湯がよいけれど、今の季節は風寒湿にやられる人が多いから、独活寄生丸がよいと薦められました。

従来虚の状態のときに風寒湿邪にやられ、深く潜伏されちゃったなんてときにぴったりの薬。
気血両虚に効く、フムフム、最近疲れが溜まってるし、腎虚がひどいのは確か。
四物湯も入っているので、血も補ってくれて、風湿を除いてくれる、と、何とばっちりの薬を薦めてくれました。

膝を気にすることがなくなったら、スポーツにも身が入るというものです。
(注意:人により証が異なるので、万人の膝関節痛に独活寄生湯が効くというものではありません。弁証しないとぴったりのものは手に入りませんのであしからず。)

2006年08月31日

苓桂朮甘湯と苓姜朮甘湯

桂枝乾姜を使うかの差で主治が変わる、方剤っておもしろいけれどよくわからない、でも弁証が合っていれば、たちどころに症状がとれていくので感激することしきりです。
苓姜朮甘湯を飲み始めて1週間、まだふくらはぎの冷たいしこったような感覚と、足裏のスースー感はとれたとはいえませんが、かなり温かみと柔らかさが戻ってきたような気がします。

さて、苓桂朮甘湯と苓姜朮甘湯と両方持ってるんだけど、どっちがいいの?と友だちに聞かれてしまいました。
はて、両方お持ちとはどういう所以でしょうか。
まあ、そのへんの憶測は置いておいて、つくづく双方を眺めてみました。

苓桂朮甘湯 苓姜朮甘湯
主治 胸脇部が脹る、咳嗽、呼吸促迫、めまい、動悸、舌苔白滑、脈弦滑など 身体がだるい、腰や下肢が冷えて痛む、口渇はない、食欲は正常、排尿は正常、舌苔は白滑、脈は沈
病機 脾陽不足で水飲が心下に停聚した状態。 寒冷や多湿環境のために寒湿が侵襲し、肌肉に停積した状態。
方意 主薬は茯苓で、温陽化気の桂枝の補助のもとに、水飲を温化し利小便によって除去する。 辛熱の乾姜は温中散寒に働く。健脾除湿の白朮・茯苓は運化を強めて利水し、乾姜とともに寒湿を除去する。
金匱要略 それ短気し微飲あるは、まさに小便よりこれを去るべし。心下に痰飲あり、胸脇支満し目眩するは、苓桂朮甘湯これを主り。 腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭を帯びるがごとし、甘姜苓朮湯これを主る。
説明 脾陽虚のために水湿の運化が不足し、湿が集まって水飲を生じる。水飲が心下に集まり停滞し、胸脇部の気機を阻害すると胸脇部が脹り、肺を阻害すると息切れや咳を生じ、心を阻害すると動悸、清陽の上昇を阻害するとふらつきや目眩が現れる。 脾は肌肉を主り水湿の運化を主るので、肌肉の寒湿は温中散寒を通じて除去するのがよい。一般的な寒湿の病変では、脾陽が阻害されるので食欲不振や下痢になったり、津液散布が阻害されるので口渇するが水分はほしくなかったり、腎の気化がうまくいかないので排尿がうまくいかなかったりするが、これらの症状がないのは水湿が肌肉にあることを示している。

『中医臨床のための方剤学』参考

双方の方剤とも健脾利湿し、体を温めて体内の寒湿を取り除くのは同じですが、一番具合の悪いところがどこなのかを考えて選ぶ必要あり、ですね。