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2009年09月30日

育毛石けん(その1)

育毛石けん育毛石けん材料弟が高校のとき、弟の友人が家に遊びに来て、こう言いました。

「お前のうちって、おじいちゃん、二人いるの?」

父は若い頃から前額部が退行して額が大きかったので、既にその頃から老け顔。
だから、弟も育毛に関して余念がありません。
いろいろ、育毛グッズがあるらしい。
ちゃあんと、聞いたことはありませんが。

そして、私は過去に脂漏性の湿疹が頭皮にできたことがあります。
それに、女性でも加齢によりだんだんと薄毛になりますから、母のためにも育毛石けんに興味があります。

育毛といっても、いろいろ原因は考えられ、滋養を与えればいいのか、過剰な油脂分を取ればいいのか、痒みをとるべきか、人によって条件は異なるというものです。
市販の育毛製品は、ある程度万人向きに作られていて、どのタイプの人にも効くようにいろいろ入っているようです。

前回は、祛風止痒(きょふうしよう)で痒みを取る当帰飲子の石けんでしたが、こちらは、

黄連黄柏乾姜(ジンジャー粉)、甘草紫根紫蘇川芎桑白皮橘皮桃仁牡丹皮、ウィッチヘーゼル、ルイボス、アロエ蜂蜜

を入れてみました。
清熱薬、解毒薬、解表薬、保湿、ミネラルを補って、荒れ肌にも、という欲張りな組み合わせです。

オイルの配合は、

オリーブ油65%、ひまし油5%
未精製カカオパター5%、高融点パーム油10%
ココナッツ油15%
鹸化率95%

未精製のカカオバターは、ココア色で茶色かったので(未精製といってもクリーム色のものもありますね)、石けんの色も濃ーい茶色になってしまいました。

<参考記事>
育毛石けん2(毛髪再生、脱毛抑制のために)

[使用感]
濃い茶色のカカオバターを入れたのは失敗でした。
浴室の網棚には1ダースほどの石けんを乗せて、いろいろ試していますが、この濃い茶色が他の石けんにくっついて変な茶色のシミができます。
(写真は光の反射で白っぽく写っていますが、実際の石けんはコーヒーのように濃い茶色です)

育毛のためにチョイスした中薬なので、その効果を感じることができるには、少なくとも石けん1個使い果たさないと良さそうかどうかわかりかねます。
弟が使った感想は、『さっぱりする』ということなので、頭皮をクリアーにすることにより髪の状態を良くするという最初のコンセプトどおりかな、という気はします。

育毛には効果あるかも?状態ですが、洗髪後は毛先がはねるのでロングの髪向きではないです。
弟は髪が短く、ドライヤーも使いませんので、その欠点は感じないかもしれません。

頭皮はさっぱりと、髪の根本はさらさらしていてしっかり立ち上がり、毛先はしっとりと落ち着いているのが理想の石けんですが、むずかしい。


2009年09月28日

当帰飲子石けん

当帰飲子石けん当帰飲子(とうきいんし)は祛風止痒(きょふうしよう)の効能があるといわれています。

中医学的には、外からあるいは内からの風が吹くと痒みが出ると考えられています。

ですから、当帰飲子は、その風を除き痒みを止める働きがある方剤です。

当帰白芍川芎地黄防風荊芥、何首烏黄耆蒺藜子甘草

最初の四つは四物湯(しもつとう)ですから血液の循環を良くしそう。
防風(ぼうふう)や荊芥(けいがい)は風を取り去り、何首烏(かしゅう)は黒髪を作るといわれているし、黄耆(おうぎ)は気を生むからエネルギーになり、他の薬剤の効果を促進しそうです。

この内容の中薬は、そのまま外用にも使われそうな中薬ですから、これで、石けんを作ったら、頭皮が痒くないものができるかしら。

早速実行です。

オリーブ油(67%)、ひまし油(5%)
高融点パーム油(10%)、ココナッツ油(18%)
当帰、白芍、川芎、熟地黄、防風、荊芥、何首烏、黄耆、甘草、黒糖
鹸化率95%

中薬は、煎じ液とオイルにインフューズドして作りました。
オイル配合は、マルセイユベースにひまし油や米油、シアバターを入れるのが好きなのですが、割合を微妙に変えていろいろ試し中です。


2009年09月25日

グリーンナッツ石けん

グリーンナッツ油グリーンナッツ石けんせっかく作った石鹸が酸化してしまったら、悲しいので、リノール酸やリノレイン酸が多いオイルはあまり使いません。
それでも、使いたいときはローズマリーオイルエキストラクトを添加して、少しでも酸化を遅らせるようにはしています。

えごま油、紫蘇油など、身近なスーパーで売っているので買いたい衝動が起きるのですが、なかなか手が出ません。

でも、その中でもグリーンナッツ油は別です。
ヴィタミンEを多く含んでいるので、酸化を心配する必要もなさそう。

どんな石けんができるのかも気になります。
それで、10%引きの油を購入して、いざ、作ろうとしたとき、鹸化価を知らないことに気がつきました。

マイナーな油を使うと、こういうことが起きるんですね。

いざ、ネットを調べることしきり。。。

犬用の石けんや手作りの食事にグリーンナッツ油を使っている方が多いです。
スーパーファットしてたりしますが、なかなか鹸化価が出てきません。

探しあてた鹸化価は、日曜石鹸さんのページを参考にさせていただきました。
記述していてくださって、ありがとうございます。

グリーンナッツ油は、とっても青臭い匂いがしますが、色は黄色。
絹さやの匂いと称している方がいらっしゃいましたが、まさしくそんな草っぽい匂いです。
オイル自体は、油なのにサラーッとして油っぽくなく、顔につけても何だか物足りないような感じ。
トウダイグサ科の Plukenetia volubilis が学名です。

トウダイグサ科って、最近、聞いたことがあるなあと、思っていたら、
そうそう、蓖麻子(ひまし)がトウダイグサ科でした。
ここのところ、ひまし油はよーく使ってます。
同じ科でも、匂いも性質も全然違いますね。

グリーンナッツ油は石けんになっても、同じ草のような匂いは残っていますが、私は別に嫌いな匂いではありません。
なぜか、斑になっています。
こんなにまだらな石けんは、最近ではありませんでした。

グリーンナッツ油36%、EXVオリーブ油30%
高融点パーム油10%、シアバター10%
ココナッツ油14%
鹸化率95%

[使用感]
リノール酸やリノレイン酸が多い油の場合、石けんを使うとサラッとした軽い感触ですが、グリーンナッツもしかり。
スイートアーモンド油を使用した石けんと同じように、洗った後の髪がフワーッとします。
でも、洗髪直後はサラッ、ふわっとするのですが、翌日はコシやハリがない分、髪は重力で下に垂れ下がるようです。
ツルッ、しとーっとした石けんを作るのは比較的簡単な気がしますが、サラッ、ふわっにプラスしてコシやハリもある石けんというのはむずかしいです。

オレイン酸の多いオリーブ油を多く配合するとコシやハリは出ますが、何だか髪が硬くなり手で触ったときに柔らかな感触を得にくいのです。
オイルの配合如何ということなのでしょうが、自分の理想とする配合になかなかたどりつけません。

2009年09月24日

バスボム作り(石けんの副産物です)

バスボム1バスボム2バスボム3あれもこれも作りたいと、構想だけは多い石けん作りです。
いろいろ使えそうなハーブ、クレイ、粉類を買い込むと、袋にはち切れそうなほど。

あーあ、いったいどうするの? 
こんなに石けん作ったら、消費しきれないでしょうに。

見るたびに、自問自答の回数が増えていきます。

そうだ、バスボムを作ってみよう!
作っている最中に爆発しそうで、面倒そうな気がしていましたが、石けん作りに比べればそう大変でもなさそうです。
バスボムの副材料って、石けんに使うものがとっても多いですね。
これで、少しは消費できるかも。

最初の写真は、左から

1. 重曹100g、クエン酸80g、死海の塩20g、ローズペタル(家で咲いたものを乾燥)
グリセリン・エタノール(99%)を各3gずつ混ぜたものを、少しずつ粉類に垂らしました。
出来上がりはよかったのですが、日にちがたつとだんだん軽くなり(おそらくラップの中で少し発砲したと思われます)、グリセリン・エタノールの組み合わせはあまり良くないかな。

2. 重曹70g、クエン酸35g、コーンスターチ10g
紫根をオリーブ油に浸けたものが残っていたので、それを粉類に少しずつ混ぜて。
紫根をオリーブに浸出したといっても、前田式温浸法で漬けたので、この方法だと微妙に油の中に水分が入るようです。
ですから、ポタッと粉の中に落とすと、そのたびにジュワッと発砲します。
水の類と同じく注意深さが必要です。

3. 重曹100g、クエン酸50g、ミルクパウダー大1、カレンデュラ大1
精油を調合したオイル (旅に持って行ったらオイルがしみ出て貼り付けたシールが取れてしまい、何をミックスしたのか不明) を少しずつ垂らして。
調合オイルなので、湯船のお湯に微妙に油が浮きます。
けれど、日にちが立ってもバスボムの重さはずしっとしたままだし、出来立てより油浮きは気にならなくなります。
香りは調合オイルのパーセンテージ如何でしょうが、1%で作ってあったものはほんのちょっぴり香る程度。
日にちが立つと、ほとんど香りません。

4. 重曹100g、クエン酸50g、ガスール30g、死海の塩50g
3と同じく不明の調合オイルの別の瓶を。

5. 重曹100g、クエン酸50g、死海の塩50g、ラベンダー小1
エタノールで抽出して水を加えたハンガリーウォーターで、アルコールを飛ばしたものを、少しずつ加えました。

実は、これは失敗でした。
水を加える場合は、霧吹きを使うか、1滴ずつ落ちるようにするべきなのに、瓶から加えたため、写真をとった時点では問題なかったのですが、時間が経つにつれ、ラップの中で発泡が始まり、ラップはどんどん膨張していき....

仕方なく、できた三つともお風呂で夫が使いました。
使用したときには、まだシュワシュワお湯の中で発泡はしましたが、長時間たてば、きっとパンクしていたでしょう。

2枚目の写真は、お水を加えていく方法で失敗したので、それのリベンジです。
入れた水分は、同じくハンガリーウォーターの残り。
今度は、スプレー容器に入れ(最初からこうしなかったのは、後で洗うのが面倒だったため)、一つずつ作る方法です。

一つ作るのに2〜3プッシュほど。
形になっていなくとも、ラップに包んでしまい時間がたてば硬くなります。

重曹大さじ2、クエン酸大さじ1に対し(アバウトなので大きさが異なります)

1. 塩昆布とローズペタル(そのうち塩昆布石けんを作ろうかと思ってます。昆布も薬なんですよ。)
2. レッドクレイとジャスミン
3. ミルクパウダーとジャスミン
4. ピンククレイのみ
5. 抹茶と紅花

五つもできてしまったのは、ハンガリーウォーターを使い切りたかったため。

パスボムに必要な水の量は、ほんの少しでいいんですね。
エタノールやグリセリンだと失敗が少ないですが、紫根をインフューズドしたオリープ油も粉に垂らしたときシュワッ、シュワッと微妙に発泡していました。
水分が入っていたのかしら?

重曹、クエン酸、塩だけで、液体を加えない方法もあるようですが、塩の中のナトリウムが空中の水分を呼ぶのでしょうか。
死海の塩で試したのですが、サラサラのままで固まる気配がありませんでした。
マグネシウムが多いせいかな?

3枚めの写真は塩とバラの花びらが入ったものを浴槽で試したものです。
クルクル回転するので写真がブレましたが、プクプク泡がたって、花びらがハラハラ散りました。
他のバスボムは、ドボンと底まで沈んでからボコボコ泡がたつのですが、花びらの分量が多いのか、最初から浮きました。

フフ、花びらすくいに、専用の網を調達しようかと思ってます。

今は休会中ですが、私の行っているスポーツクラブの露天の温泉では、春、バラがたくさん咲くとバラを一輪ずつまるごと、いくつも浮かべてバラ風呂にしてくれる日曜日が何週間かあります。
お掃除のときは、網ですくうんですよね。

追記:
バスボムはお湯の中に入れたときに炭酸ガスが発生するわけですから、バスボムを作るときも、粉に加えるものは、水になればなるほど作っている最中でも少しずつ発砲します。
グリセリンはその分子構造上、水と油の中間のようなものですし、アルコールはどれだけ水分が入っているかによってむずかしさが変わると思います。
塩は、空中の水分を呼びます(しける)。
いくつも作って何日もかかって消費するのなら、油系で固めるのがお勧めです。
油がベストなのではないでしょうか。

2009年09月23日

甘草紅花石けん

甘草紅花石けん1甘草紅花石けん2ピュアオリーブ油を使っていると白い石けんはできても、黄色い石けんはなかなかできません。
『SOAPMAKER'S COMPANION』 (キャビッチ)の色付けの章には、LICORICE ROOT が earthy yellow shade になると記述されています。

黄色い色を出したかったのと、黄色に紅花が入るとどこまで赤い色を保てるのかを知りたかったので、甘草を煎じ液とオリーブ油に浸出させ、紅花は型入れ時に混ぜました。

甘草は保湿、紅花は血液循環をよくするかも、という期待もあります。

オリーブ油55%、ひまし油10%
高融点パーム油20%、ココナッツ油15%
鹸化率95%

ひまし油を10%入れたのにもかかわらず、型から抜くのに苦労しました。
硬かったー。
ひまし油10%だけで、他にリノール酸リノレイン酸の多い油を使っていないので、硬さを出すためにパーム20%は入れる必要はなかったかもしれません。(それも高融点パームですから)

紅花は、半分ぐらいは黄色に、残りは赤茶けた状態を保っています。
型入れ時は、半分程度鹸化が進んでいるというのを、そのまま物語っているようですね。

2009年09月21日

アルガン石けん

アルガン石けんアルガン油36%
オリーブ油28%
ホホバ油8%
高融点パーム油9%
ココナッツ油14%
シアバター5%
鹸化率95%

この配合を見た方は、どこかで見た配合だと思うかもしれません。
最高に贅沢な石けんの変形で、オリーブとスイートアーモンドを逆のパーセンテージにしたアルガンバージョンだからです。

アルガン石けんはナイアードのものが有名ですが、ちなみにナイアードは、
アルガン(20%)、EXVオリーブ(30%)、ココナッツ(30%)、パーム(20%)
と発表されています。

最初は、せっかくアルガンオイルを使うのなら72%入れてみようかと思っていたのです。
でも、アルガンオイルの組成は、

オレイン酸47.2%、リノール酸34.3%、パルミチン酸13%、ステアリン酸5.4%、リノレイン酸0.1%、ヴィタミンE

とのことで、さっぱり系にできあがるかなと、配合を変えました。

着色せず着香もしないので白い石けんが多く、常時10個ぐらいを浴室に置いていますが、石けんになってもアルガン独特の匂いは残っているので、嗅ぐとすぐアルガン石けんだとわかります。
この匂い....ときに、ごま油の匂いのようにも感じられますが、香ばしい胡麻の香りというより形を変えた匂いというような変わった匂いで、好みではありません。

[使用感]
洗髪すると指にちょっとひっかかりますが、髪に触るとサラサラなので、アルガンオイルが皮脂をコントロールするとおっしゃっている方がいますが、それは本当のことなのかもしれません。
最近、私は米油と植物バター類を配合したマルセイユにハーブや中薬を入れるのが好みですが、このアルガン石けんはオイルの配合の妙味を感じます。

<関連記事>アルガンオイルは魔法のオイル?

2009年09月18日

ハイビスカス石けん

ハイビスカス石けん髪に良いといわれるハイビスカスを使ったシャンプーバーです。

オリーブ油35%
椿油20%
ひまし油5%
マンゴーバター5%
高融点パーム油20%
ココナッツ油15%
ハイビスカス、ローズヒップ、
オレンジピール、レモンピール、アップルビッツ
鹸化率95%

前田京子さん的には、椿油はオリーブ油のウリ二つのような使い心地とおっしゃっていますが、髪に良いハーブを使うのなら、伝統的に髪によく使われる椿油をと。
それで、ひまし油も控えめですが、使っています。
バター類も、5%がいいのか10%がいいのか実験中なので、このときは5%です。
ひまし油も入れたし、硬い方がいいかと、試しにパーム油は20%にしました。

夏の溶け崩れが嫌で、パーム油は融点が高いものを金田油店さんから購入したものがまだあります。
買った後に、パーム油は40度から42度ぐらいの融点のものが良い(お風呂の温度で溶けるということですね)という本の記述を読んだのと、だんだん気温が下がって秋になっていくと、高融点パームではなかなか液体になりませんので、通常のパーム油に戻そうとしています。

インドでは、ハイビスカスはジャスワンドと呼ばれ、育毛に効果がありそうです。
リンスにハイビスカスを漬けたビネガーを使っている方もいらっしゃいますね。

エジプトでも、カルカデと呼ばれ、甘味をプラスしてピッチャーに入れたジュースをホテルで出してくれます。
濃度と甘味のバランスによって、おいしいものとイマイチなものとあり、今日のカルカデはおいしい、今日のはおいしくない、と飲み比べをしていましたっけ。
エジプト人は、『カルカデは血を綺麗にする』、といって飲んでいるそうです。

このハイビスカスを粉にして型入れ時に混ぜ混みました。
ローズヒップやらその他のものは、煎じ液にして苛性ソーダに混ぜています。
実は、これはミックスハーブティーだったのです。
成分をみると、そのまま石けんに使っても良さそうにみえたので、そのまま煎じました。
最終的な石けんに、綺麗な赤い色は出ないかと思ったので、オイルにインフューズするのはやめました。

[使用感]ひまし油を入れると髪のすべりが良くなるのですが、ハイビスカスは髪には確かに良い感じに思えます。
洗髪の当日は実にうまく髪がまとまり、ツルツルしてこれはとっても良いかも、と思うのですが、翌日は外はねしてあまりよくはありません。
パーム20%だと泡持ちは良くても肌や髪にはあまり良い影響を与えないのかもしれません。

2009年09月16日

桃仁と桃の葉の石けん

桃仁石けん桃仁は桃の種。
活血化瘀薬で、血液をサラサラにすると言われています。
打撲のときの内出血も中医学的には、瘀血(血の滞り)と考えられており、紅花(こうか)川芎(せんきゅう)も瘀血をとるときに内服する方剤に使われます。

皮膚科の外用薬にも、杏仁より桃仁の方がたびたび登場します。
両方とも種ではありますが、煎じると杏仁より桃仁の方が油分が多いような気がします。
残った煎じ液をお風呂に入れたら、桃仁の方が油が多く浮きましたので。

油そのものは、アプリコットカーネルの方がピーチカーネルより知られていますが、アロマテラピーのキャリアオイルとして取り上げられていることが多いからでしょうか。

中医学的には、桃仁が活血化瘀薬であるのに対し、杏仁は止咳平喘薬(咳止め)に分類されているので、外用には桃仁の方が効果的なのかな、とも思います。

血を補って、かつ、サラサラにするという『桃紅四物湯(とうこうしもつとう)』には桃仁と紅花が使われており、不整脈などに効果的な血府逐瘀湯は、桃紅四物湯に牛膝(ごしつ)桔梗(ききょう)柴胡(さいこ)が加わります。

残念ながら、ピーチカーネルは手持ちがなかったので、石けんには入れませんでしたが、桃仁と桃の葉を煎じ液とオイルに浸出させ、型入れ時に芦薈(ろかい・アロエ)を加えました。

オリーブ油35%、スイートアーモンド油20%
ひまし油5%、シアバター5%
ココナッツ油15%、高融点パーム油20%
鹸化率95%

[使用感]
スイートアーモンド油を配合すると軽い洗い上がりになるので、髪もサラッ、フワッといった感じになります。
だから、この桃の石けんはかなりグッド-----良くなるはずなのですが。。。
べたつくというほどではないのですが、味にたとえると、えぐみが残る、といった感じ。

もっと良いかもしれないと思ったのにー、???、です。
桃のせいでしょうか。
洗い立ては良いのですが、翌日が気に入りません。

2009年09月14日

杏仁石けん

杏仁石けんアプリコットカーネルオイルは、アプリコットカーネルの油だと思っていました(英語と漢字が頭の中で結びつかないのです)。
杏仁の油だと気がついたのは、ずい分最近のこと。

中医学では、木の実は脂肪分を多く含むので、乾燥したタイプの便秘に効くといわれています。
油分が腸の中のすべりを良くすると思われているんですね。

木の実の種と同じ効果が油にあるかはわかりませんが、同じ植物なら少なからず薬用的な使い方ができるでしょう。

なぜか、去年からあるアプリコットカーネルオイル(もうきっと酸化してます)を消費するべく、刻み杏仁(煎じ薬用)もあるので、杏仁石けんを作りました。

オリーブ油25%、スイートアーモンド油18%
高融点パーム油20%、ホホバ油8%
アプリコット核油9%、シアバター5%
ココナッツ油15%、鹸化率95%

煎じ薬用の杏仁は茶色い薄皮付きで刻まれているいるもの20gを粉にし、半分ずつを煎じ液とオイルに抽出。
型入れ時に、杏仁霜とアーモンドエッセンスを入れてみました。

アーモンドエッセンスは、ビターアーモンドの香料成分をエタノールに抽出したものらしい(クオカのです)ので、きっと熟成が終わる頃には香りが飛んでいるでしょうが、香っているうちは楽しめると思っています。
都立大のパウンドハウスのブルーベリーパイには、アーモンドエッセンスが入っていて、それ故、なぜかブルーベリーパイが食べたくなったものですから。

最近、煎じ液を石けん用に取り分けて冷蔵庫に入れた後の残りは、お風呂に入れ塩も足して腰湯をしています。
効きそうな煎じ液と、それほどでもないと感じるお茶(煎じ液より濃度が低い)とあります。

[使用感]
この杏仁の石けんには、使用するときには残らないかもしれないと思いつつアーモンドエッセンスを入れてあります。
実は、これがほのか〜に香ります。
アーモンド油とアプリコットカーネル油が30%近くとホホバ油も入っているせいか、髪の洗い上がりはなかなかのもの。

個人的には、桃仁より杏仁の石けんのほうが好きです。
でも、髪のコシやハリがちょっと弱いかな。

<参考記事>桃仁と桃の葉の石けん


2009年09月11日

シコン(紫草)石けんの色

ラベンダーシコンシコンラベンダーシコンシコン石けんシコン石けんいろいろ紫草(しそう)はムラサキの根の中薬だからシコンとも言います。
解毒効果のある体を冷やす薬ですが、日本では華岡青州が中国の『外科正宗』から作ったといわれる紫雲膏が有名です。

先日、皮膚に効く中薬の本を見ていて、外科正宗の処方を見ましたが、紫雲膏と入れているものは同じでした。
華岡青州は分量を変えて作っているのかしら?

紫雲膏は家にもありますが、私の経験では切り傷には効くような。
脂漏性湿疹には効果ありませんでした。

紫雲膏の色は赤紫ですが、この紫根の色はアルカリに出会うと青に変身するというやっかいなもの。

以前南仏で買ったラベンダーの石けんは紫(ラベンダー)色に着色され、それはそれでラベンダーを想像できるものだったので、珍しく色にこだわって紫の石けんに挑戦しました。

最近、私はハーブや中薬を石けんに入れるときは、煎じ液とオイルに浸出させたものと両方使います。
それぞれ、水溶性の成分と湯溶性の成分が抽出されるかと期待しているからです。
(アルコールが入ると石けんが柔らかくなるようで、あまり好みではありません)

総油脂量は500gです。

●1度め、ラベンダーと紫根をそれぞれ10g、総量20gを煎じ用と油用に分けて、先入れ蜂蜜で作りました。(最初の写真)
(オリーブ油60%、ひまし油5%、シアバター5%、パーム油15%、ココナッツ油15%)

●2度め、1度めがベージュになり撃沈してしまったので、紫根の量を20g、ラベンダーを10g、先入れ蜂蜜で作りました。(2番目の写真)
最初のものより明らかに抽出油の色が濃く、いい線いったかなと思われましたが、色はグレーになりました。
どうも、煎じ液を入れると灰色になるような。
(オリーブ油72%、パーム油10%、ココナッツ油18%)

●3度め、色について失敗続きだったので、ラベンダーはさておき、紫根のみ20gオイルに浸出させるだけにしました。
いつもは前田京子さん方式で湯煎に15分かけるのですが、根のように硬い漢方薬は葉、茎、花を多く利用するハーブより成分がでないのだろうと思い、湯煎に30分かけました。
これは、予想通り、むらさきになりました。
(オリーブ油57%、米油10%、ひまし油5%、高融点パーム油10%、ココナッツ油18%)

写真はアルカリと合わさったときの色ですが、石けんの色はすでに想像できますね。
抽出された成分の量、煎じ液、はちみつが関係しているようです。
はちみつを入れるとベージュ(はちみつ色)に、煎じ液を入れると灰色になるのではないでしょうか。
温度や酸化も関係あるといわれていますが、私のやり方(できるだけ前田京子さんの方法にしたがって)で同じように作っても色が変わりました。

[使用感]
1度めのラベンダー紫根石けんは、はちみつを入れたおかげが功を奏したのか、髪の洗い上がりはなかなかナイスです。
サラサラして根元の立ち上がりもあるので、これはコシやハリがあるということなんでしょうか。
色はベージュで紫とはほど遠いできですが、石けんとしてはかなりレベルが高いといえます。
他のはまだ試していません。


2009年09月07日

せっせと腰湯をしなければ

ブラックソルトとデッドシーソルト骨折箇所がなかなか治癒しないと、腎はお疲れ。
中医学的には、腎は骨を司っているので、骨形成中の身としては、せっせと腎をいたわらなければならなかったのです。

夏は暑いので、湯船に入るよりシャワーで済ませがち。
それを文字通り実行していたのでは、いけなかったのです。
腎は老廃物を尿にして排泄していますから、夏の間、よく汗をかくことは、汗で老廃物を出せるので、腎を助けることになります。

夏は、汗を容易にかける季節。
また、中国古代の養生法では、夏は発散の季節とあります。
冬は、人間も自然の中で暮らす動物である以上、体も冬眠状態になるのでしっかりと『気』を腎にとじこめなければなりません。
これを『閉臓』といいます。

ですから、1年のうち、春から夏にかけては、だらだらと汗をかいて腎を助けなければなりません。
今、私は、スポーツどころの状態ではないので、だからこそ汗をかける腰湯をするべきだったのだと、やっと自覚しました。

お臍がつかる程度のお湯(私は42度にしています。それ以上熱いととても20分は入っていられません。)の中に、発汗を助けるためにお塩や重曹をいれます。

最近は、浄化力が強いといわれるヒマラヤ黒岩塩(ブラックソルト)やナトリウム分が少ない死海の塩を重曹といっしょに。
今日はヒマラヤ、明日は死海というふうに、塩はミックスはしません。
重曹も一緒に入れたブラックソルトは、お湯が熱々になって・・・足の裏が痛いほど。
硫黄成分も入っていて温泉気分に浸れるので、私は黒岩塩の方が好みです。
死海の塩は、イマイチ効果がよくわからないんですよね。

どちらもキロ単位で買ってしまいました。
塩や重曹を入れるとお湯の温度が上がって、効きそうな気分になる、それがまたお風呂の愉しみになります。

そうそう、冬はだらだらと汗をかいてはいけませんよ。
冬はしっかり、腎に気を閉じ込めなければなりませんから、うっすらと汗をかいたら、いつまでも湯船につかっていてはなりません。
<参考>
ビオスヒマラヤンファクトリー
死海の塩の水嶋屋
<関連記事>
いい汗?
「ぼーっとしようよ養生法」の記事


2009年09月02日

はちみつ石けん(超しっとり)

はちみつ石けん蜂蜜は、神農本草経にも載っている伝統的な中国の薬です。
内服すると潤下----気を補い、うるおいをもたらし、咳を止め、乾燥した便秘に効くとされています。
生薬を炮製するときに、蜂蜜でからめて炒ると、補気の効果が高まります。

外用すると、瘡瘍、やけどの治療に、というのですが、火傷のときに試したことはない(つい、馬油を塗ってしまうので)ので本当に効くかどうかはわかりません。

普通、石けんに配合すると、『しっとり』するといわれていますが、その蜂蜜を10%入れた石けんを作りました。
市場では10%以上も配合と謳う蜂蜜石鹸があり、はちみつを10%入れたものが分離するのか確かめたかったからです。
総油脂量は500gなので、蜂蜜の重量は50gです。
大さじ3杯入れた方もいらっしゃるので、同じぐらいかと(蜂蜜の比重を考えると大さじ3の方がたぶん多いです)思います。

オリーブ油(42%)、米油(20%)、カカオバター(10%)
高融点パーム油(10%)、ココナッツ油(18%)
蜂蜜(10%)、鹸化率95%

(※金田油店さんでパーム油を買うときに、2種類の融点違いがあることを知りました。その在庫がまだあるのです。)

型入れ時(鹸化は半分近く進んでいるといわれます)に、湯煎でサラサラにした蜂蜜を石けん生地に混ぜましたが、分離もせず、それほど水分も滲み出た記憶はありません。
しかし、写真を見ると均一で滑らかとはいえませんね。

[使用感]
意外や意外!
しっとりし過ぎるかというきらいがあったのですが、髪・顔・体と三拍子揃ってオーケーでした。
髪はサラサラで、手で触ると柔らかくて気持ちがいい。
ただ、コシがあるかと問われると、柔らか過ぎて髪の根本があまり立ち上がりません。
そのうち、米油・カカオバターを入れずに、オリーブ油72%で蜂蜜を入れて試してみたいです。
マルセイユのねっとりモクモクした泡が、私はわりと好きなので。